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結節性痒疹

結節性痒疹とは

激しい痒みが出現し、次第に硬いしこりが出現し、徐々に拡大して全身に及ぶこともあります。痒みを感じると掻破を抑えきれず、約6週間後には掻いたり擦ったりした部分に結節と呼ばれる硬いしこりが生じます。そのしこりもとても痒みが強く、さらに掻破して皮膚に傷がつきます。出血して痛みを生じるまで掻き続ける人もおられます。その傷から細菌が感染することもあります。

掻破によりさらに結節は増大し、乾燥し、赤みを帯びてきます。乾燥したり炎症を起こすとさらに痒みが増して、また掻破行動がおきます。

原因

なぜ結節性痒疹が起きるのかはまだ完全にはわかっていません。

多くの患者さまがもともとアトピー性皮膚炎やうっ滞性皮膚炎、疥癬、乾燥肌などの痒みを起こす基礎疾患を持っており、繰り返し掻くことによって生じるのではないかと言われています。我々皮膚科医はそれを「そう痒掻破サイクル(itch scratch cycle)」と呼んでいます。

結節性痒疹はそのサイクルを止めることで治療が可能になると考えられています。ただ無意識のうちに掻破しているのであれば、治療にはかなり時間がかかります。

治療

  1. ステロイド外用:最も基本的な治療で、初期の病変から慢性化した病変にも使用します。単純外用の他、ガーゼなどで閉鎖密封療法を行います。テープ剤の使用も効果があります。
  2. 抗ヒスタミン剤の内服:痒みを抑えるための対症的な治療です。これだけでなかなか痒みがコントロールできない場合もあります。
  3. 紫外線照射療法:定期的に照射し、そう痒を抑え、掻破行動が減少することによって病変が軽快してきます。
  4. 液体窒素による凍結療法:結節ひとつひとつを液体窒素で凍結治療を行い、結節の平坦化、痒みの軽減を図ります。
  5. スキンケア:結節性痒疹の皮疹部では発汗低下があると言われており、ある保湿剤を多めに外用することで軽快したとの報告があります。結節性痒疹の初期病変に有効ではないかと言われています。
  6. デュピルマブ(デュピクセント®︎)注:もともとアトピー性皮膚炎などに使用されていましたが、2023年6月に適応追加となりました。結節性痒疹は「炎症」「かゆみ」が長期間続いた結果、かゆみをともなうぼこぼことした「結節性病変」が生じる疾患ですので、3つすべてに着目し、良い状態を長く維持することが大切です。デュピクセントは、「IL-4」と「IL-13」という物質のはたらきを直接おさえることで、「炎症」「かゆみ」をおさえ、「結節性病変」も改善します。デュピクセント®︎の適応追加により、様々な治療でもなかなか症状を改善できなかった方にも新たな治療の光明が見えることとなるでしょう。

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新たな治療が加わりましたが、痒疹の治療には時間がかかります。お一人お一人の状況に合わせた治療を、患者さまと相談しながら選択していきたいと思います。

 

セルフケア ー結節性痒疹治療の8つのコツー

治療に難渋する疾患ですが、皮膚科での治療とともにセルフケアがとても重要です。患者さまご自身ができるちょっとしたコツについて説明いたします。

1.治療に時間がかかること、様々な治療を試してみることが大事であることをご理解ください。

多くの方が、目に見えるような治療効果がないと諦めたり、ストレスを感じたりします。何かお困りのことがあれば治療が継続できるように主治医と話し合うことが大切です。

2. 掻いたり、擦ったり、いじったり、触ったりするのは止めるように努めましょう。

掻き続けると治療はうまくいきません。掻くことで新しい皮疹ができますし、古い皮疹は跡が残ってしまいます。我々皮膚科医は掻くのを止めることがいかに大変なことかをわかっています。以下にちょっとしたコツについて記します。

  • 結節を隠す。長袖のシャツやズボン、ソックスなどで覆い、あなたの爪から隠します。発疹が炎症を強く起こしている場合、治療としての覆い方を我々がお教えします。もし絆創膏や衣類の上から擦っている場合、主治医にお話ししてください。治療用テープ剤の処方も可能です。
  • 爪を短く切りましょう。ダメージが少なくなります。
  • 薄手のグローブやソックスの着用も検討しましょう。
3.痒みを鎮める準備をしましょう。

掻くと結節性痒疹は悪化します。

  • 突然の痒みには、止痒剤(カラミンローションやレスタミン軟膏など)を使っても良いでしょう。
  • 就寝時に激しい痒みが生じます。結節性痒疹はリラックスした時に痒みが強くなります。寝る前に抗ヒスタミン剤を内服することも良いでしょう。
  • 無香料の保湿剤を塗り、しっとりを保ちましょう。保湿は肌を沈静化し、柔軟にし、痒みを抑えます。
4.肌に優しいスキンケア製品を使いましょう。

石鹸、クレンジング、保湿剤は敏感肌用で無香料のものを選びましょう。

5.シャワーや入浴の時は熱いお湯を使わないようにしましょう。

タオルやスポンジなどは使わず、優しく手で洗ってください。ぬるま湯で優しく洗い流しましょう。擦ると痒みが増強します。

6.あなたの痒みを引き起こす刺激を確認し、避けるようにしましょう。

一般的な痒みの誘因は ストレス、温熱、発汗、過度の湿度、乾燥、スキンケア日用品、ちくちくしたりする衣類などです。

7.感染を起こしていないかチェックしましょう。

治療の途中で感染を起こすことがあります。例えば結節が腫れたり、変色、熱感、膿がでたり、痛みがあったりしたら、主治医にご相談ください。ひどくなると発熱が生じることもあります。

8.皮膚科の受診を継続しましょう。

今の症状に治療があっているか、何か合併症はないかなどをチェックすることができ、日常生活の注意点などについて相談することができます。

 

症状が良くなっても以上のケアを心がけることが再発を予防することができます。

投薬や処置の治療も重要ですが、セルフケアも大切です。一緒に頑張りましょう。

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